🌶 七味唐辛子の誕生
七味唐辛子は、江戸時代初期(1625年ごろ) に、
江戸・両国薬研堀(やげんぼり) で薬種商を営んでいた「中島徳右衛門」が考案したのが始まりといわれています。
当時、唐辛子は今のような調味料ではなく、**「健胃」「発汗」「冷え性改善」などの薬効を持つ生薬(薬草)」**として扱われていました。
中島徳右衛門は、唐辛子をベースに薬効のある素材を数種類ブレンドし、
「香りよく、体にもよい薬味」として販売を始めました。
これが「薬研堀の七味唐辛子」と呼ばれるようになり、江戸庶民の間で広まっていきます。
七味の「七」の意味
「七味」は「七種類の味」という意味で、実際には以下のような構成が基本です。
原料 | 主な働き・風味 |
---|---|
唐辛子 | 辛味の中心。体を温め、血行促進。 |
山椒 | 爽やかな香りとしびれ。胃腸を刺激し、食欲を増進。 |
麻の実 | 香ばしさを加える。栄養価も高い。 |
黒ごま | コクと香ばしさ。抗酸化作用あり。 |
あおさ | 風味に深みを与える。ミネラルや食物繊維が豊富で、体を内側から整える。 |
けしの実 | プチプチ食感とまろやかな甘み。 |
陳皮(ちんぴ/みかんの皮) | 柑橘系の香りでさわやかさをプラス。胃腸の働きを整える。 |
この7つの素材を「七つの薬味=七味」と呼び、
「七つの恵みを一つにする」縁起の良いものとしても愛されました。
🍜 七味の文化的広がり
江戸時代後期には、そばやうどんの文化とともに、
七味唐辛子は日本全国へと広まりました。
屋台や茶屋では「七味壺」が常備され、
「お好みでどうぞ」と振りかけるスタイルが定着します。
また、七味は**料理の味を引き締め、香りを添える“名脇役”**として、
今でも日本の食卓には欠かせない存在となっています。